Q&A

基本・概要

相続とは何ですか?

相続とは、人が亡くなった(被相続人)際に、その人の財産(プラスの財産もマイナスの財産も含む)を一定の範囲の親族(相続人)が引き継ぐ制度です。日本では民法によって相続のルールが定められています。

相続が発生したら、まず何をすればいいですか?

まず死亡診断書を取得し、死亡届を市区町村役場に提出します(7日以内)。その後、相続人の確認・遺言書の有無の確認・財産調査・相続放棄の検討(3か月以内)・準確定申告(4か月以内)・相続税申告(10か月以内)と、期限のある手続きを優先して進めましょう。

相続人になれるのはどのような人ですか?

法定相続人は、配偶者(常に相続人)と、①子(孫)、②直系尊属(父母・祖父母)、③兄弟姉妹(甥・姪)の順番で決まります。上位の順位の人がいる場合、下位の人は相続人になれません。

法定相続分とはどのくらいですか?

配偶者と子が相続する場合は配偶者1/2・子1/2(子が複数いれば均等割)、配偶者と直系尊属の場合は配偶者2/3・直系尊属1/3、配偶者と兄弟姉妹の場合は配偶者3/4・兄弟姉妹1/4です。

相続の手続きはいつまでに完了させる必要がありますか?

手続きごとに期限が異なります。相続放棄・限定承認は3か月以内、準確定申告は4か月以内、相続税の申告・納付は10か月以内が主な期限です。不動産の相続登記は2024年4月から3年以内が義務化されました。

相続と遺贈の違いは何ですか?

相続は法定相続人が法律の規定に従って財産を引き継ぐことです。遺贈は遺言書によって相続人以外の第三者(内縁の配偶者・友人・法人等)に財産を与えることです。相続人への遺言による財産の承継も「相続させる旨の遺言」として扱われます。

▲ 一覧に戻る

相続人・相続分

内縁の妻は相続人になれますか?

内縁の配偶者は法律上の相続人にはなれません。ただし、遺言書で財産を遺贈する旨を記載することや、特別縁故者として家庭裁判所に申立てをする方法があります。

認知された子は相続できますか?

はい。認知された非嫡出子(婚外子)も嫡出子と同等の相続分を持ちます。2013年の法改正により、嫡出子と非嫡出子の相続分は同等になりました。

養子縁組をした場合、相続はどうなりますか?

養子は実子と同様に相続人となります。ただし、相続税の計算で法定相続人に含められる養子の数には制限があります(実子がいる場合は1人、いない場合は2人まで)。

相続人が先に亡くなっていた場合はどうなりますか?

代襲相続が発生します。子が先に死亡していた場合は孫が、兄弟姉妹が先に死亡していた場合は甥・姪が代わりに相続人となります。ただし、直系尊属(父母・祖父母)に代襲相続はありません。

相続人の中に連絡がとれない人がいる場合はどうすればいいですか?

相続手続きには相続人全員の合意が必要なため、主に以下の方法があります。①不在者財産管理人の選任、②失踪宣告の申立て、③所在等不明共有者の持分取得・譲渡制度。専門家に相談することをお勧めします。

相続人の一人が相続前に亡くなっている場合(数次相続)はどうなりますか?

相続開始後、遺産分割が完了する前に相続人の一人が亡くなった場合を「数次相続」といいます。最初の被相続人の遺産は、亡くなった相続人の相続人が代わりに相続します。手続きが複雑になるため専門家への相談が有効です。

▲ 一覧に戻る

遺言書

遺言書がある場合、法定相続分より優先されますか?

原則として遺言書の内容が優先されます。ただし、相続人には「遺留分」という最低限の取得権利があり、遺留分を下回る遺言内容は、相続人が遺留分侵害額請求をすることで一部を取り戻せます。

遺言書には種類がありますか?

主に3種類あります。①自筆証書遺言(自書・印鑑が必要、費用は安いが無効リスクあり)、②公正証書遺言(公証役場で作成、費用はかかるが確実)、③秘密証書遺言(内容を秘密にできるが手続きが複雑)です。

自筆証書遺言を見つけた場合、すぐに開封してもいいですか?

家庭裁判所で検認手続きを行う前に開封してはいけません(封印されている場合)。ただし、法務局の遺言書保管制度を利用した遺言書は検認不要です。無断開封しても遺言自体は無効になりませんが、5万円以下の過料が科されることがあります。

遺言書の検認とは何ですか?

遺言書の偽造・変造を防止するための家庭裁判所の手続きです。相続人全員に通知され、裁判官の面前で遺言書を開封・確認します。検認は遺言書の有効・無効を判断するものではありません。

遺言書の内容に不満がある場合、争うことはできますか?

はい。遺言書の形式不備や、遺言者が遺言能力を欠いていた場合、詐欺・強迫による場合などは遺言無効確認の訴えを起こすことができます。また、遺留分が侵害されている場合は遺留分侵害額請求ができます。

デジタル遺言(パソコンで作成した遺言)は有効ですか?

現時点(2024年)では、自筆証書遺言はすべて自書が必要なため、パソコンで作成した本文は無効です(財産目録のみ例外としてパソコン作成可)。確実な遺言を作成するには公正証書遺言の利用をお勧めします。

▲ 一覧に戻る

相続放棄・限定承認

相続放棄とはどのような手続きですか?

相続放棄とは、相続人としての地位をすべて放棄することです。家庭裁判所に申述書を提出して行います。相続開始を知った日から3か月以内に行う必要があり、一度受理されると取り消せません。

借金が多い場合、相続放棄すべきですか?

借金(負債)がプラスの財産を上回る場合、相続放棄を検討すべきです。ただし、放棄すると次の順位の相続人に相続権が移るため、親族への影響も考慮が必要です。3か月の期限前に専門家に相談することをお勧めします。

3か月の期限を過ぎても相続放棄できますか?

原則として3か月を過ぎると相続放棄はできませんが、財産の存在を知らなかった場合など「やむを得ない事情」がある場合は、相続財産を知った時点から3か月以内であれば認められることがあります。裁判所の判断によります。

限定承認とはどのような手続きですか?

限定承認とは、相続によって得た財産の範囲内でのみ被相続人の債務を支払うという条件付きで相続を承認する手続きです。相続人全員が共同で行う必要があり、家庭裁判所に申述します。

相続放棄をしたら、生命保険の死亡保険金も受け取れなくなりますか?

いいえ。生命保険の死亡保険金は、受取人が指定されている場合は相続財産ではなく受取人固有の財産のため、相続放棄をしても受け取ることができます。ただし、受取人が「相続人」と指定されている場合は注意が必要です。

▲ 一覧に戻る

遺産分割

遺産分割協議とは何ですか?

相続人全員で遺産の分け方を話し合い、合意する手続きです。全員の合意が必要で、合意内容を「遺産分割協議書」にまとめて全員が署名・押印します。一人でも反対すれば成立しません。

遺産分割協議書は必ず作成しなければなりませんか?

法律上の義務ではありませんが、不動産の名義変更(相続登記)や金融機関での相続手続きに必要なため、実務上は作成することが強くお勧めされます。後の紛争防止にも役立ちます。

遺産分割協議がまとまらない場合はどうすればいいですか?

家庭裁判所に遺産分割調停を申立てることができます。調停でも合意が得られない場合は審判に移行し、裁判官が分割方法を決定します。弁護士のサポートを受けることをお勧めします。

遺産分割協議書に記載すべき内容は何ですか?

①被相続人の氏名・死亡日・本籍・最後の住所、②相続人全員の氏名・住所・続柄、③各財産(不動産・預金等)の具体的な内容と誰が取得するか、④作成日、⑤相続人全員の署名・実印による押印が必要です。

生前に贈与を受けた相続人は、相続分が少なくなりますか?

特別受益といいます。被相続人から結婚・教育・住宅資金等のために特別な利益を受けた相続人は、その分を相続財産に持ち戻して計算し、相続分が調整されます(被相続人が免除の意思表示をしている場合を除く)。

▲ 一覧に戻る

不動産の相続

相続した不動産の名義変更(相続登記)はいつまでにしなければなりませんか?

2024年4月1日から相続登記が義務化されました。相続を知った日から3年以内に登記申請をしなければなりません。正当な理由なく期限を過ぎた場合、10万円以下の過料が科されることがあります。

相続登記に必要な書類は何ですか?

主に①被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等、②相続人全員の戸籍謄本、③遺産分割協議書(協議による場合)と相続人全員の印鑑証明書、④被相続人の住民票除票、⑤相続人の住民票、⑥固定資産税評価証明書、⑦登記申請書が必要です。

相続した不動産を売却したい場合の税金はどうなりますか?

相続した不動産を売却した際の譲渡所得税は、被相続人の取得費・取得時期を引き継ぎます。相続開始から3年10か月以内に売却した場合は相続税額の一部を取得費に加算できる特例(相続財産の取得費加算)があります。

相続した実家を空き家のままにしておくとどうなりますか?

固定資産税・管理費用の負担が続くほか、特定空き家に指定されると固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)が解除され税負担が増加します。2023年改正で相続空き家を売却した場合の3,000万円特別控除(一定条件あり)も活用できます。

相続した農地はどのように手続きしますか?

農地の相続には農業委員会への届出が必要です(相続後速やかに)。相続登記とは別手続きです。農地を売却・転用する場合は農地法の許可が必要です。農業経営に使う場合は相続税の納税猶予制度も利用できます。

▲ 一覧に戻る

預貯金・金融資産の相続

被相続人の銀行口座はすぐに凍結されますか?

金融機関が死亡を知った時点で口座が凍結されます。凍結後は相続手続きが完了するまで引き出しができません。なお、2019年の改正により、遺産分割前でも各相続人は法定相続分の1/3(上限150万円)まで仮払いを請求できるようになりました。

銀行での相続手続きに必要な書類は何ですか?

一般的に①被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、②相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書、③遺産分割協議書(協議による場合)、④通帳・キャッシュカード、⑤各銀行所定の相続届出書が必要です。銀行によって異なるため事前確認を。

被相続人の証券口座(株式)はどのように相続しますか?

証券会社に相続手続き依頼書と必要書類(戸籍謄本・遺産分割協議書等)を提出します。相続人自身の証券口座に名義変更するか、売却して現金で分割します。相続人に口座がない場合は新規開設が必要です。

タンス預金(現金)も相続財産になりますか?

はい。現金は相続財産です。相続税の申告では申告義務があります。税務調査では被相続人の生前の収入・支出と残高を照合することがあるため、正確に申告することが重要です。

被相続人の口座から生前に引き出された預金はどうなりますか?

被相続人の認知症等で本人が関与できない状態での引き出しは、使途不明金として遺産分割協議の中で問題になることがあります。正当な費用(医療費・介護費等)の証明ができるよう領収書等の保管が重要です。

▲ 一覧に戻る

相続税

相続税は必ずかかりますか?

いいえ。相続税には基礎控除があり、遺産総額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」以下であれば相続税はかかりません。日本では相続税が課税されるのは相続全体の約10%程度と言われています。

相続税の申告期限はいつですか?

相続の開始(被相続人の死亡)を知った日の翌日から10か月以内に、被相続人の最後の住所地の税務署に申告・納付する必要があります。期限内に遺産分割が確定していない場合でも法定相続分で仮申告を行います。

配偶者は相続税が軽減されますか?

はい。配偶者の税額軽減(配偶者控除)として、配偶者が取得した財産が「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」のいずれか多い金額までは相続税がかかりません。ただし申告手続きが必要です。

相続税を現金で払えない場合はどうすれば良いですか?

①延納(分割払い、最長20年)か②物納(不動産等の財産で納付)を税務署に申請できます。いずれも要件があります。相続した不動産の売却資金で納付する場合は売却が間に合うよう早めの対応が必要です。

小規模宅地等の特例とは何ですか?

被相続人の自宅や事業用宅地を相続した場合、一定要件を満たせば評価額を最大80%(特定居住用宅地は330㎡まで80%)減額できる特例です。相続税の大幅な軽減につながるため、専門家に要件を確認することをお勧めします。

相続税の申告は自分でできますか?

財産が預貯金だけなど比較的シンプルな場合は自分で申告も可能です。ただし、不動産がある場合や特例の適用、財産評価が複雑な場合は税理士に依頼することで過払い・申告漏れのリスクを避けられます。

相続税の税率はどのくらいですか?

相続税は累進税率で、取得金額が1,000万円以下は10%、3,000万円以下は15%、5,000万円以下は20%、1億円以下は30%、2億円以下は40%、3億円以下は45%、6億円以下は50%、6億円超は55%です。

生前贈与は相続税対策になりますか?

はい。ただし2024年から改正があり、相続開始前7年以内(改正前は3年以内)の贈与財産は相続財産に加算されます(持ち戻し期間の延長)。また年110万円の暦年贈与の基礎控除は継続して活用できます。

相続税申告を税理士に依頼した場合の費用はどのくらいですか?

一般的に遺産総額の1.0%前後が目安です。例えば遺産総額が5,000万円の場合、50万円前後が相場です。財産の種類・数、相続人の数、特例の活用などによって変動します。

相続税の計算で使われる財産評価とはどういう意味ですか?

相続税の計算では、財産を時価ではなく「相続税評価額」で評価します。土地は路線価(または倍率方式)、建物は固定資産税評価額、上場株式は死亡日等の終値等が基準となります。評価が低くなるほど相続税が少なくなります。

▲ 一覧に戻る

生命保険

生命保険の死亡保険金に相続税はかかりますか?

はい。受取人が相続人の場合、「500万円×法定相続人の数」までは非課税です。例えば相続人が3人なら1,500万円まで非課税となります。この非課税枠は相続放棄した相続人は使えません。

受取人が指定されていない生命保険はどうなりますか?

受取人が「法定相続人」と指定されている場合は各相続人が法定相続分に応じて受け取ります。受取人の指定がない場合や死亡している場合は、保険約款や民法の規定に従って判断されます。保険会社に確認してください。

被相続人が加入している保険を調べる方法はありますか?

生命保険協会の「生命保険契約照会制度」を利用することで、照会手数料(3,000円)を払って全社一括照会ができます。また、郵便物・通帳の引き落とし記録・確定申告書の生命保険料控除欄等も確認しましょう。

▲ 一覧に戻る

相続と借金・負債

被相続人に借金があった場合、相続人が払わなければなりませんか?

相続を承認した場合は原則として借金も引き継ぎます。相続放棄をすれば借金の返済義務を負いません。財産と借金のどちらが多いか不明な場合は、3か月以内に専門家に相談することが重要です。

連帯保証人になっている被相続人の借金も相続されますか?

はい。連帯保証債務も相続財産(負債)として相続されます。相続放棄をすれば免れることができます。相続放棄する場合でも、既に財産を処分した場合は単純承認とみなされ放棄できなくなる場合があります。

死後に発覚した借金はどうすればいいですか?

相続開始を知ってから3か月の熟慮期間内であれば相続放棄が可能です。3か月を経過していても、借金の存在を知らなかったことに「やむを得ない事情」がある場合、裁判所が認めれば放棄できる場合があります。

▲ 一覧に戻る

相続登記・専門家

相続手続きを専門家に依頼する場合、誰に頼めばいいですか?

不動産の名義変更は司法書士、相続税の申告は税理士、相続争いや遺言書の作成・相続放棄は弁護士が専門です。総合的に相談したい場合は司法書士・行政書士への相談から始めるとよいでしょう。

司法書士に相続登記を依頼した場合の費用はどのくらいですか?

一般的に司法書士報酬5万〜15万円程度が目安です(財産の数・複雑さによって異なります)。これに加えて登録免許税(固定資産評価額×0.4%)や戸籍取得費用等の実費がかかります。

相続手続きに必要な戸籍謄本はどこで取れますか?

本籍地の市区町村役場で取得できます。遠方の場合は郵送請求も可能です。また2024年からは広域交付制度により、本籍地以外の市区町村でも一部の戸籍謄本が取得可能になりました。マイナンバーカードがあればコンビニ交付も利用できます。

法定相続情報証明制度とは何ですか?

2017年に開始された制度で、戸籍謄本等の束の代わりに、法務局が認証した「法定相続情報一覧図」1枚で相続手続きができる制度です。複数の金融機関での手続きに便利で、取得費用は無料です。司法書士・行政書士等に依頼するか自分で申請できます。

▲ 一覧に戻る

遺留分

遺留分とは何ですか?

遺留分とは、一定の相続人が最低限受け取ることが保障された相続財産の割合のことです。兄弟姉妹には遺留分はなく、配偶者・子・直系尊属に認められます。遺留分の割合は全体の1/2(直系尊属のみの相続の場合は1/3)です。

遺留分侵害額請求とはどのような手続きですか?

遺留分を侵害された相続人が、遺言や贈与で財産を受け取った人に対して、遺留分相当の金銭の支払いを請求することです。2019年の民法改正で、現物返還ではなく金銭請求となりました。

遺留分侵害額請求の時効はいつですか?

遺留分の侵害を知った時から1年間(消滅時効)、または相続開始から10年間(除斥期間)です。時効を防ぐために、早めに弁護士等に相談して手続きを進めることが重要です。

▲ 一覧に戻る

寄与分・特別の寄与

介護をした相続人は多く相続できますか?(寄与分)

はい。被相続人の療養看護や財産管理に特別な貢献をした相続人は、「寄与分」として相続財産から貢献に応じた額を優先的に取得できます。ただし相続人間の合意か家庭裁判所の審判が必要です。

相続人でない嫁(義理の子)が介護した場合、何か権利はありますか?

2019年の民法改正で「特別の寄与」制度が創設されました。相続人以外の親族(例:長男の妻)が療養看護等をした場合、相続人に対して特別寄与料の支払いを請求できます。ただし相続人間で合意が得られない場合は家庭裁判所に申立てが必要です。

▲ 一覧に戻る

デジタル遺産

電子マネーやポイント、暗号資産も相続財産になりますか?

一律に「すべて相続財産」とはいえず、種類・規約によって大きく異なります。①電子マネー:前払い(プリペイド)型のチャージ残高は原則として相続財産になりますが、後払い・即時払い型は対象外です。また規約で相続を認めていないサービス(例:nanaco等)では残高が消滅する場合があります。②ポイント:民法上は一身専属権にあたり原則として相続できません。ただし航空会社のマイル等、規約で引き継ぎを認めているものもあります。③暗号資産:相続財産となり、死亡時の時価で相続税評価されます。いずれも各サービスの利用規約を必ず確認してください。

暗号資産(仮想通貨)を相続するにはどうすればいいですか?

秘密鍵やウォレット情報が必要です。情報がなければ事実上資産にアクセスできません。取引所に口座がある場合は各取引所の相続手続きを行います。相続税評価は死亡時の時価で行われます。

SNSやメールアカウントも相続できますか?

各プラットフォームの利用規約によります。多くのサービスでは第三者へのアカウント譲渡を禁止しており、法的に相続できないケースがあります。Googleは「非アクティブアカウントマネージャー」等の事前設定で対応できます。

▲ 一覧に戻る

生前対策

相続税を減らすための生前対策はありますか?

主な方法として①年間110万円の暦年贈与、②教育資金・結婚子育て資金・住宅取得資金の贈与特例の活用、③生命保険の非課税枠の活用、④不動産購入による評価額圧縮、⑤相続時精算課税制度の活用などがあります。専門家との相談が重要です。

生前贈与をするなら早いほどいいですか?

2024年の税制改正で、相続前7年以内の贈与は相続財産に加算されるようになりました(段階的に延長)。計画的な贈与は有効ですが、7年超の長期計画が重要です。なお、相続時精算課税制度を選択した場合も注意が必要です。

家族信託とは何ですか?相続対策に使えますか?

家族信託(民事信託)とは、財産の管理・処分を信頼できる家族に委ねる仕組みです。認知症対策として有効で、被相続人が判断能力を失う前に設定することで、後見制度より柔軟な財産管理が可能です。遺言代用としても活用できます。

成年後見制度と家族信託の違いは何ですか?

成年後見制度は判断能力を失った後に裁判所が後見人を選任する制度で、財産管理に制限があります。家族信託は判断能力があるうちに自分で設定でき、信託契約の内容に従い柔軟な財産管理が可能です。いずれも一長一短があります。

任意後見制度とは何ですか?法定後見と何が違いますか?

任意後見制度は、本人が判断能力があるうちに自分で後見人と支援内容を契約で決めておく制度です。法定後見は判断能力を失った後に家庭裁判所が後見人を選任する制度です。任意後見の方が本人の意思が反映されやすいという特徴があります。

▲ 一覧に戻る

相続手続きの流れ

相続手続きにはどのくらいの期間がかかりますか?

財産の内容・相続人の数・相続人間の関係等によって大きく異なります。スムーズな場合で3〜6か月程度、遺産分割で揉める場合や相続税申告が必要な場合は1年以上かかることもあります。

相続財産調査とはどのように行いますか?

①不動産:名寄帳を役所で取得、全部事項証明書を法務局で取得、②預貯金:通帳・カードの確認と各金融機関への残高照会、③株式・投資信託:証券会社への照会、④生命保険:保険証券の確認と保険会社への照会、⑤借金:信用情報機関への照会などを行います。

相続手続きを一人で進めることはできますか?

財産が預貯金のみなどシンプルで相続人間の関係が良好であれば、自力での手続きも可能です。ただし、不動産登記・税務申告・争いがある場合は専門家に依頼することで時間・コスト・リスクを大幅に減らせます。

被相続人の確定申告(準確定申告)とは何ですか?

被相続人が1月1日から死亡日までに得た所得について、相続人が代わりに行う確定申告のことです。相続開始を知った日の翌日から4か月以内に被相続人の住所地の税務署に申告します。

▲ 一覧に戻る

祭祀・墓地

お墓や仏壇は誰が相続しますか?

祭祀財産(墓地・墓石・仏壇・仏具・位牌等)は相続財産とは別に扱われ、祭祀主宰者(慣習上は長男が多いが、遺言や家族の協議で決定)が引き継ぎます。祭祀財産は相続税の対象外です。

墓じまいをする場合の手続きと費用はどのくらいですか?

墓じまいの手続きは①改葬許可の申請(現在の墓地所在地の市区町村)、②遺骨の取り出し(石材店)、③改葬先での受け入れ(寺・公営墓地・散骨等)、④墓石の撤去の順に行います。費用は墓の大きさや立地によって異なりますが10〜50万円程度が目安です。

▲ 一覧に戻る

離婚・再婚と相続

離婚した元配偶者は相続人になりますか?

離婚が成立していれば、元配偶者は相続人にはなりません。ただし、離婚した元配偶者との間の子供は相続人になります(親権の有無にかかわらず)。

再婚した場合、前婚の子も相続人になりますか?

はい。前婚の子も現在の配偶者との子も同等の相続権(法定相続分)を持ちます。実親子関係は変わらないため、再婚によって相続権が失われることはありません。

ステップチルドレン(配偶者の連れ子)は相続人になりますか?

連れ子は養子縁組をしていなければ相続人になりません。養子縁組をすると実子と同等の相続権が生じます。養子縁組をしない場合は遺言書で遺贈することが必要です。

▲ 一覧に戻る

国際相続

海外に財産がある場合、相続手続きはどうなりますか?

国際相続は複雑で、財産所在地国の法律と日本の法律が絡み合います。原則として日本の法律が適用されますが(日本人の場合)、財産がある国での手続きも別途必要になる場合があります。国際相続に詳しい専門家への相談をお勧めします。

外国籍の方が亡くなった場合の相続はどうなりますか?

外国籍の方の相続は、その方の本国法が適用されます(法の適用に関する通則法)。ただし、日本に財産がある場合は日本の不動産登記等の手続きも必要です。国際相続は複雑なため専門家への相談が不可欠です。

▲ 一覧に戻る

相続紛争

相続人の間で揉めてしまった場合の解決策は?

まずは話し合いを試みます。合意が難しい場合は①家庭裁判所の調停(遺産分割調停)、②弁護士による代理交渉、③調停不成立の場合は審判(裁判所が判断)という流れで解決します。弁護士への早期相談が紛争を早期解決につながります。

親族間の相続トラブルを避けるためにできることはありますか?

①公正証書遺言の作成(内容の明確化)、②生前の財産目録の共有、③生前贈与の記録保管、④家族信託の活用、⑤家族での話し合いの機会を設けることが有効です。「争族」を防ぐためには生前の準備が最も重要です。

使途不明金(生前に引き出された預金)について争う場合はどうすればいいですか?

まず通帳・取引記録で引き出しの事実を確認します。不当な引き出しと判断した場合は、①遺産分割協議で問題提起、②不当利得返還請求や不法行為による損害賠償請求を行うことができます。弁護士に相談してください。

▲ 一覧に戻る

相続放棄後の注意点

相続放棄をした後も、被相続人が住んでいた家の管理は必要ですか?

2023年の民法改正前は相続放棄後も管理義務が続きましたが、改正後は自己の財産と同一の注意義務を負うにとどまり、次の管理者(他の相続人等)が管理できるまでの期間に限定されました。ただし故意・重過失での損害には責任を負います。

全員が相続放棄した場合、財産はどうなりますか?

相続人全員が相続放棄した場合、相続財産管理人(相続財産清算人)が選任され、債務の弁済後の残余財産は国庫に帰属します。利害関係人(債権者・特別縁故者等)が家庭裁判所に申立てることができます。

▲ 一覧に戻る

税務調査

相続税の税務調査はどのくらいの割合で行われますか?

申告案件のうち約10〜20%程度に税務調査が行われるとされています(国税庁データ)。特に申告額が多い案件、財産の種類が多い案件、生前贈与が多い案件は調査されやすい傾向があります。

税務調査ではどのようなことが調べられますか?

主に①申告漏れ財産の有無(特に預貯金の名義預金・タンス預金)、②財産評価の妥当性(特に不動産・非上場株式)、③生前贈与の内容、④生命保険・年金等の申告もれが調べられます。名義預金(子や孫名義の実質的な被相続人の財産)は特に注意が必要です。

▲ 一覧に戻る

事業承継

事業を承継する場合の相続はどうなりますか?

事業用財産も相続財産となります。非上場株式の評価は複雑で、多額の相続税が発生する場合があります。事業承継税制(非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予・免除制度)を活用することで、後継者の税負担を大幅に軽減できる場合があります。

農業を引き継ぐ場合の相続税の特例はありますか?

農業経営の相続税については農地等の「農業投資価格による評価」と「納税猶予制度」があります。一定要件を満たして農業を継続する場合、農地に係る相続税の納税が猶予(条件を満たせば免除)されます。

▲ 一覧に戻る

特殊ケース

胎児は相続人になれますか?

はい。胎児はすでに生まれたものとみなされ、相続権を持ちます(民法886条)。ただし、胎児が死産となった場合はこの限りではありません。相続手続きは胎児が生まれるまで待つか、生まれた子の法定代理人(母)が手続きします。

相続人が認知症の場合、どのように手続きを進めますか?

認知症で判断能力が不十分な相続人がいる場合、成年後見人を選任し、後見人が遺産分割協議に参加します。後見人は本人の利益を最優先に行動するため、不利な分割協議は受け入れられない場合があります。

相続人が未成年の場合、どのように手続きを進めますか?

未成年者の代わりに親権者(通常は親)が法定代理人として手続きします。ただし、親も相続人である場合は利益相反となるため、家庭裁判所に特別代理人の選任を申立てる必要があります。

孤独死(死後発見)の場合の相続手続きはどうなりますか?

孤独死の場合も通常の相続手続きと同様ですが、死亡確認・行政機関への届出・遺品整理等の実務的な対応が必要です。相続人がいない場合や全員が放棄した場合は、相続財産清算人の選任手続きが必要になります。

身元不明の相続人(所在不明)がいる場合はどうすればいいですか?

相続人の所在が不明な場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申立てることができます。選任された管理人が遺産分割協議に参加します。長期間所在不明の場合は失踪宣告の申立ても可能です。

▲ 一覧に戻る

会社・法人と相続

亡くなった方が会社の株主だった場合、株はどうなりますか?

会社の株式は相続財産として相続人に引き継がれます。上場株式は証券会社経由で名義変更手続きを行います。非上場株式は会社への通知・株主名簿の書き換えが必要で、評価が複雑なため税理士への相談をお勧めします。

個人事業主が亡くなった場合、事業はどうなりますか?

個人事業は原則として廃業となり、事業資産・負債が相続されます。後継者が事業を引き継ぐ場合は新たに開業届等の提出が必要です。廃業に際しては青色申告者の承認申請や消費税の届出等も必要になる場合があります。

▲ 一覧に戻る

期限と緊急対応

相続放棄の3か月の期限が迫っている場合、どうすればいいですか?

今すぐ弁護士か司法書士に相談してください。相続財産の調査が間に合わない場合は、熟慮期間伸長の申立て(家庭裁判所へ)ができます。申立ては期限が切れる前に行う必要があります。

相続税の期限(10か月)が迫っている場合、どうすればいいですか?

遺産分割が確定していなくても、法定相続分で仮申告をすることができます(期限後申告になると延滞税・無申告加算税が発生するため注意)。早急に税理士に相談してください。分割確定後に修正申告を行います。

相続登記の義務化(2024年4月〜)に間に合わない場合の猶予措置はありますか?

2024年4月1日以前に発生した相続についても義務化の対象となり、3年間(2027年3月31日まで)の経過措置があります。ただし、経過措置後は過料の対象となるため、早めに手続きを進めることをお勧めします。

▲ 一覧に戻る