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#031『農地を相続したら必要な届出とは?』

福岡・博多駅徒歩1分の行政書士事務所 『LEGAL BASE』 代表のSanukiです。

 

親から農地を相続した際、法務局での相続登記だけでは手続きが完了しないことをご存知でしょうか。

実は、農業委員会への届出も必要になります。これは平成21年12月の農地法改正により新たに義務化されたもので、正式には「農地法第3条の3第1項の規定による届出」と呼ばれています。

 

この記事では、農地を相続した方が必ず知っておくべき届出の法的根拠、具体的な手続き方法、提出期限などについて分かりやすく説明していきます。

 

農地を相続したら必要な届出とは?農地法3条の3について詳しく解説

 

農地法3条の3の届出とは

農地法3条の3の届出とは、相続などによって農業委員会の許可を得ることなく農地の権利を取得した場合に、その事実を農業委員会に報告する制度です。通常、農地を売買や贈与で取得する際には農地法3条の許可が必要ですが、相続の場合は許可不要で権利が移転します。

しかし、許可なしで権利が移転すると、農業委員会が地域の農地の実態を把握できなくなります。そこで届出制度を設け、農地の所有者情報を正確に管理し、遊休農地の発生を防ぐとともに、農地の有効利用を促進することを目的としています。

 

どのような場合に届出が必要か

届出が必要となる主なケースは以下の通りです。

相続による取得

被相続人から農地を相続した場合が最も一般的です。遺産分割協議によって特定の相続人が農地を取得した場合も含まれます。

包括遺贈による取得
遺言書によって「全財産の2分の1を譲る」といった包括的な遺贈を受けた場合も届出の対象です。

その他の権利取得
法人の合併や分割、時効取得などによって農地の権利を取得した場合
も同様に届出が必要となります。

 

なお、農地法3条の許可を受けて権利を取得した場合は、この届出は不要です。

 

 

 

届出の法的根拠と罰則

この届出義務は農地法第3条の3第1項に明記されており、法的な義務として定められています。届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合には、農地法第69条の規定により10万円以下の過料に処せられる可能性があります。

ただし、この届出は権利取得の効力を発生させるものではありません。つまり、届出をしなくても相続による権利取得自体は有効ですが、法律上の義務を怠ったことになり、罰則の対象となる可能性があるということです。

 

届出の提出期限

届出は、農地の権利を取得したことを知った時点から、おおむね10か月以内に提出する必要があります。この期間は相続税の申告期限と同じ目安となっており、相続手続きと合わせて進めることが推奨されます。

期限を過ぎた場合でも届出は受け付けられますが、前述の通り罰則の対象となる可能性があるため、できるだけ早めに手続きを行いましょう。

 

届出の具体的な手続き方法


1.提出先
農地が所在する市町村の農業委員会が窓口となります。自治体によっては農業委員会事務局や農林課など、部署名が異なる場合もあります。

2.必要書類
基本的に必要となる書類は以下の通りです。

  • 農地法第3条の3の規定による届出書(1部)
  • 相続したことが分かる書類の写し(登記事項証明書、遺産分割協議書など)
  • 農地の位置を示す図面(必要に応じて)

 

3.提出方法
窓口への持参が原則ですが、自治体によっては郵送での提出を受け付けているところもあります。

代理人に依頼する場合は、行政書士が代理人となります。(行政書士以外の代理申請は、違法となりますのでご注意ください。)

 

届出後の流れ

農業委員会は届出を受理すると、受理通知書を発行します。(自治体によってない場合もあります。)受理通知書の交付までには、通常1週間から10日程度かかります。この受理通知書は、届出が正式に受理されたことを証明する重要な書類ですので、大切に保管しましょう。

また、農業委員会では届出のあった農地について、適正な利用が図られているか確認し、必要に応じて利用促進のための助言やあっせんを行う場合があります。

 

まとめ

農地の相続は、法務局での登記手続きだけでなく、農業委員会への届出も忘れずに行うことが重要です。届出は法律で定められた義務であり、怠ると罰則の対象となる可能性があります。

相続発生から10か月以内という期限を意識しながら、必要書類を準備して速やかに手続きを進めましょう。不明な点がある場合は、農地が所在する市町村の農業委員会または行政書士に問い合わせることをお勧めします。適切な届出を行うことで、農地の適正な管理と有効活用につながります。

 

当事務所では、農地法の手続きについて司法書士・土地家屋調査士と提携してトータルサポートしております。

福岡県の農地のお手続きは、LEGAL BASE行政書士事務所にご相談ください。

初回相談は無料となっております。概算のお見積りも致しますので、まずは、お気軽にお問い合わせください。

 

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