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#028『農地法3条許可とは』

福岡・博多駅徒歩1分の行政書士事務所 『LEGAL BASE』 代表のSanukiです。

 

皆さんは、農地を売買や貸借することに法的な制限があることはご存知でしょうか。

 

農地は一般的な土地とは異なり、農地法という法律で厳しく規制されています。許可を得ずに売却した場合、契約自体が無効になるので注意が必要です。今回の記事では農地を農地として売買・賃貸する場合の手続きをご説明します。

 

 

農地法3条許可とは

農地を(転用することなく)農地として売買したり贈与を受けたり、貸し借りしたりする場合、農地法第3条に基づいて農業委員会の許可が必要です。この許可を得ずに売買等をした場合、その契約は法的効力を持たず、無効となります。

 

農地を取得する際には、売主と買主の両方が農業委員会に申請書を提出して、正式な許可を得る必要があります。贈与の場合は、贈与者受贈者、賃貸の場合は、賃貸人賃借人共同して申請をします。

 

 

農地取得者の基本的要件

 

農地を農地として賃貸・譲渡する話なので、相手方は当然、農業をする人や法人に限られます。

 

・すでに農業を営んでいる農業者(個人)

・新しく農業を始めるために農地を購入や賃借をする人(個人)

・売買等で農地を所有する場合、農地所有適格法人(法人)

・賃貸の場合、役員又は重要な使用人が1人以上農業に常時従事すること(法人)

 

 

さらに細かな要件があったり、自治体によっても異なりますので注意が必要です。また、「農地所有適格法人」とはどのようなものかについては次でご説明します。

 

農地所有適格法人とは

 

「農地所有適格法人」とは、漢字の通りですが、農地を所有するのに適した法人ということです。福岡市の場合で見てみると要件は以下となります

【法人形態】
株式会社(公開会社でないもの)、 農事組合法人合名・合資・合同会社

 

【事業内容】
売上高の過半が農業 (農産物の加工・販売等の関連事業を含 む)

*関連事業 農畜産物の製造・加工農畜産物の貯蔵、運搬、販売農業生産に必要な資材の製造 農家民宿等

 

【議決権】
農業関係者が総議決権の過半を占めること

 

【役員】
役員の過半が農業に常時従事する構成員であること(原則年間150日以上)
役員又は重要な使用人の1人以上が農作業に従事すること(原則年間60日以上)

 

 

農業委員会への申請方法

 

申請は毎月一定の締切日(市町村により異なります)に受け付けられ、その後の農業委員会総会で審議されます。標準的な処理期間は申請書受理から1~2か月程度ですが、市町村によって異なります。

 

申請に必要な書類は、一般的に許可申請書の他、農地の登記事項証明書、位置図、売買契約書の案、買主の農業経営計画書などです。こちらも市町村によって書類が異なります。

 

代理で依頼する場合は、行政書士になります。(行政書士以外の代理申請は違法ですので、ご注意ください。)

 

許可されない場合もある

 

農業委員会では、以下のような場合は許可を下ろさないことがあります。

  • 買主が耕作する能力がないと判断された場合
  • 農地から農地以外への転用が目的と認められた場合
  • 地域の農業委員会が定めた要件(全部効率利用要件、常時従事要件、地域との調和要件など)を満たさない場合

 

申請前に必ず農業委員会に相談して、その農地が売却・購入できるかどうか確認することが大事です。

 

 

農地中間管理事業による貸借

 

農地を売却するのではなく、貸す場合は農地中間管理機構(都道府県ごとに設置)を通じた貸借が推奨されています。

農地中間管理機構は、効果的な農地の集積・集約を進めるための組織で、公的機関です。この機関を通すので、賃料の支払いなども安心で、トラブルが少ないのが特徴です。

 

また、今回のテーマである、農地転用3条の許可も不要です。都道府県によって異なりますが、農地中間管理機構での貸借には決められた賃借期間(3年・6年・10年など)や申請締切がある場合が多いので、事前に確認が必要です。

 

 

農地法第3条許可と農地転用の違い

 

農地売買では、農地法第3条の許可(農地を農地のまま売買する場合)と農地法第4条・第5条の許可(農地を農地以外に転用する場合)の2種類があります。

 

本記事で扱う第3条許可は、買主が農業を行う目的で農地を取得する場合です。もし農地を住宅商業施設用地として売却したい場合は、異なる手続きが必要になります。

 

 

新しく農業を始める場合

新たに農業を始めるために農地を取得する場合、地域によって別途の手続きや要件があることがあります。新規就農者向けの支援制度がある自治体も多いので、事前に市町村役場や農業委員会に相談することをお勧めします。

 

 

手続きを進める時の注意点

農地法第3条の許可がない限り、売買契約は無効になります。許可を得る前に正式な売買契約を結ぶことは避けましょう。

申請に必要な書類や手続きの詳しい内容については、農地の所在地を管轄する農業委員会に直接問い合わせるか、行政書士にご相談ください。

 

 

所有権移転登記

売買や贈与の場合の許可は、「名義を変えてもいいですよ」というものなので、農業委員会の許可が下りた後、法務局で所有権移転登記を申請する必要があります。この登記により、初めて買主(受贈者)が農地の新しい所有者となります。通常は買主側(受贈者)の代理人が行いますが、売主側でも流れを把握しておくことが大切です。

 

この場合の代理人は、司法書士になります。

 

 

まとめ

農地を農地として権利変動を行う場合、農地法第3条に基づいて農業委員会の許可を取得する必要があります。許可を得ずに売買した場合、契約は無効となります。農地を貸す場合は農地中間管理機構を通じた手続きも検討しましょう。

 

手続きを進める際は、農地の所在地を管轄する農業委員会や行政書士・司法書士と相談しながら進めることをお勧めします。

 

当事務所では、農地法の手続きについて司法書士・土地家屋調査士と提携してトータルサポートしております。

福岡県の農地のお手続きは、LEGAL BASE行政書士事務所にご相談ください。

初回相談は無料となっております。概算のお見積りも致しますので、まずは、お気軽にお問い合わせください。

 

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