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027『遺言書の作成率の推移と日本の遺言事情』

福岡・博多駅徒歩1分の行政書士事務所 『LEGAL BASE』 代表のSanukiです。

高齢化社会が進む日本において、相続対策への関心は年々高まっています。しかし、実際に遺言書を作成している人はどれくらいいるのでしょうか。

 

 

遺言書の作成率の推移と日本の遺言事情


遺言書の作成率は約1割未満という現実

 

日本公証人連合会の統計によると、2023年(令和5年)に全国で作成された公正証書遺言は11万8,981件でした。また、法務省の発表では、自筆証書遺言書保管制度の利用件数は同年19,336件となっています。

一方、厚生労働省の人口動態統計によると、2022年度の死亡者数は約157万人です。これらの数字から算出すると、遺言書の作成率は約8〜9%程度にとどまっていることがわかります。つまり、亡くなる方の約9割は遺言書を残していないのが現状です。

 

公正証書遺言の作成件数推移(過去10年間)

作成件数

2014年

約10万4,000件

2015年

約11万件

2016年

約10万5,000件

2017年

約11万件

2018年

約11万件

2019年

約11万3,000件

2020年

約9万7,700件

2021年

約10万6,000件

2022年

約11万1,000件

2023年

約11万9,000件

2020年はコロナ禍の影響で一時的に減少しましたが、2023年には過去最高水準を記録しました。長期的に見ると、1989年の統計開始時は年間約4万件だったものが、現在は約3倍に増加しています。

 

年代別に見る遺言書への意識の違い

総務省の調査(平成29年度)によると、60歳以上の方の3割以上が「遺言書を作成したい」と回答しています。年齢が上がるにつれて遺言書への関心が高まる傾向が見られます。

日本財団の調査(2023年)では、遺言書を作成しようと思ったきっかけとして以下の理由が上位に挙がりました。

  • 自身の高齢化:60.1%
  • 相続トラブルを避けるため:33.9%
  • 配偶者や子のため:約30%

一方、遺言書を作成しない理由としては「遺言を書くほどの財産がない」「まだ元気だから」「家族がうまく分配してくれる」といった回答が多く、自分事として捉えていない人が多いことがわかります。

 

意識と実態のギャップ

ある法律事務所の調査(2023年)によると、50〜70代のシニア世代の65%が遺言書に「前向きな印象」を持っていますが、実際に作成予定があると答えた人はわずか8.5%でした。

また、親の相続を経験した人のうち、遺言書があったケースはわずか9.9%ですが、遺言書があった場合に「あってよかった」と感じた人は80%に上ります。遺言書の価値は、実際に相続を経験して初めて実感されるものと言えそうです。

 

今後の展望と早めの準備の重要性

2024年7月時点で、自筆証書遺言書保管制度の累計利用件数は79,128件に達しました。2020年の制度開始以来、着実に利用者が増加しています。

遺言書は「財産が多い人のもの」というイメージがありますが、遺産分割で家庭裁判所に持ち込まれる紛争の約4割は、遺産額1,000万円超〜5,000万円以下のケースです。財産の多寡にかかわらず、円滑な相続のために遺言書の作成を検討することが大切です。

認知症などで判断能力が低下すると、法的に有効な遺言書を作成できなくなる可能性があります。「まだ早い」と思わず、元気なうちに準備を始めることをおすすめします。

 

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