#025『預金の相続手続』
福岡・博多駅徒歩1分の行政書士事務所 『LEGAL BASE』 代表のSanukiです。
相続が発生した際、被相続人の預金口座の取り扱いは相続人にとって重要な項目です。
本記事では、預金相続に関する実務上の取り扱いについて、2025年時点の情報に基づいて詳しく解説します。
預金の相続手続
目次
1.預金口座の凍結とそのタイミング
口座名義人が亡くなったことを金融機関が知ると、その方の口座はすべて凍結され、一切の入出金等ができなくなります。多くの場合、相続人が金融機関に連絡を入れることで口座凍結が行われます。ATMのキャッシュカードや通帳、印鑑も使用できなくなるため、早期の対応が必要です。
口座凍結の目的は、相続人間のトラブル防止や不正な引き出しを防ぐことにあります。凍結後は、正規の相続手続きを経なければ預金の払い戻しや名義変更ができません。
2.口座凍結後にできなくなること
口座が凍結されると、以下のような取引がすべて停止されます。
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特に自動引き落としが停止されると、公共料金やクレジットカードの支払いが滞る可能性があるため、速やかに引き落とし口座の変更手続きが必要です。

3.相続開始前後の預金引き出しに関する注意点
前述のとおり、銀行に名義人が亡くなったことを伝えない限り、口座は凍結されないので、被相続人が亡くなる前後に、相続人の一部が預金を引き出してしまうケースがありますが、これにはリスクが伴うことを覚えておきましょう。
相続開始後の無断引き出しのリスク
口座凍結前であっても、被相続人が亡くなった時点から預金は相続財産となります。相続人の一人が勝手に引き出した場合、以下のような問題が生じます。
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相続開始前の引き出しについて
被相続人の生前に、本人の同意なく預金を引き出した場合は、さらに深刻な問題となります。
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適切な対応方法
どうしても葬儀費用などで資金が必要な場合は、以下の方法を検討してください。
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安易な預金の引き出しは、後々大きなトラブルの原因となります。必ず適切な手続きを踏むことが重要です。
4.預金相続の手続きの流れ
金融機関への連絡と必要書類の準備
口座名義人が亡くなった場合、まずお取引のある金融機関に連絡します。金融機関から相続手続きについての案内を受け、必要書類のリストが提示されます。
必要な書類は相続の方法によって異なりますが、一般的には被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書などが必要です。遺言書がある場合は検認済みの遺言書(公正証書遺言の場合は不要)、遺産分割協議を行った場合は相続人全員が署名・実印押印した遺産分割協議書も提出します。各金融機関や預金残高によって求められる書類が異なる場合があるため、事前に確認することが重要です。
法定相続情報証明制度・戸籍の広域請求制度の活用
2024年3月1日以降、戸籍法の改正により、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍謄本を取得できるようになりました。(戸籍の広域請求制度)これにより、遠方の戸籍取得が容易になっています。
収集した戸籍を基に法定相続情報を作成し、法務局で証明書を取得することで、以降の手続きで戸籍謄本の束を提出する必要がなくなります。この証明書は相続手続きの効率化に非常に有効です。
金融機関での手続きと払戻し
必要書類を揃えて金融機関に提出します。金融機関での審査期間は通常1週間から2週間程度ですが、書類に不備がある場合やゆうちょ銀行などではさらに時間がかかることもあります。
預金の相続手続きには、「払戻し(解約)」と「口座の名義変更」の2つの方法があります。多くの場合は相続人の口座へ払戻しとなりますが、定期預金などで満期まで保有したい場合は名義変更を選択することもできます。

5.相続税申告との関係
預金は相続税の課税対象となります。相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。預金の評価額は、原則として相続開始日時点の残高となります。
遺産分割前の払戻し制度を利用して引き出した預金も、相続財産として申告する必要があります。葬儀費用として支出した場合は、領収書を保管しておくことで相続税の計算上、債務控除として認められます。

6.まとめ
預金の相続手続きには多くの書類が必要であり、相続人間での調整も求められます。スムーズな相続を実現するためには、早期に専門家に相談し、計画的に手続きを進めることが重要です。相続に関する法律は複雑で、個別のケースによって対応が異なるため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
【この記事のポイント】
- 預金口座は名義人死亡後に凍結される
- 相続手続きには戸籍謄本など多数の書類が必要
- 法定相続情報証明制度の活用で手続きが効率化
- 専門家への相談でスムーズな手続きを
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